はじめに


MEDALのインストール

まず以下の手順でMEDALをインストールします。

1)MEDALのダウンロード
MEDALをダウンロードします。http://www.image.med.osaka-u.ac.jp/reza/にアクセスし、[ MEDAL Software ]→[ Download ] からMedalZipSummer2002.exeをダウンロードします。

2)日付の変更(WINDOWS98の場合)
ダウンロードできるMEDALは2002年版のため、コンピュータの日付が2002年でなければインストールできません。「スタート」メニュー → 「設定」 → 「コントロ−ルパネル」を実行し、「日付と時刻」のアイコンを開きます。年を2002年にもどしてOKをクリックします。これでインストールの準備は完了です。

3)ファイルの解凍とインストール
ダウンロードしたファイルをダブルクリックして実行し、「setup」ボタンをクリックします。出てきたダイアログに「medal-zoroofi-2002」と入力してOKするとインストールが始まります。使用許諾条件が出たら「accept」をクリックして次に進んでください。このとき先に進めない場合は2)の日付変更が正しく行われているか確認してください。

4)インストールの完了
インストールが完了すると「スタート」メニューとデスクトップにMEDALのショートカットアイコンが作られます。以後はこのアイコンからMEDALを起動することができます。

5)日付の変更
変更した日付はインストールが終了したら元に戻しておきましょう。

MEDALの使い方

1)MEDALの起動と終了
デスクトップまたはスタートメニューのMEDALのショートカットを実行するか、インストールしたフォルダにあるMEDAL.EXEを実行するとMEDALが起動します。また、MEDALのメニューの[Exit]をクリックすると終了します。ただし、画像を1枚でも開いている場合は[Close]を押して画像をすべて閉じておかないと終了できません。

2)画像の読み込み、保存
メニューの[File] - [Open] - [***読み込みたい画像形式***] を選び、出てくるダイアロクで開きたいファイルを指定します。ふつうはこれだけで開けますが、[Mon-graphical [including DICOM]]の場合はさらに開くためのオプションを指定しなければいけません。数値はいじらず「UNIX Pic Image」のボタンをクリックして[Apply]を押せばOKです。また、[File] - [Save] - [***保存したい画像形式***] を選び、保存したいファイル名を指定すると、指定した形式で画像を保存できます。また、MEDALにはサンプルとしていくつかの画像が用意されています。サンプルはふつうの画像とは保存形式が違うため、それを開くのは別の手順となります。[File] - [Open Group Data[1D/2D/3D]] - [images(2-D) Data] でサンプル画像を開けます。

3)MEDALの画像の内部表現
MEDALでは画像処理の手段が用意されているのは主にグレースケール、モノクロの画像です。そこで、開いたファイルはMEDALで処理できる形に変換してやらなければなりません。そのためには画像を開いた後、[Process] - [Convert BitMap Images to GrayPIC Images [and Close BitMap Images]] を選び、変換後のファイルを保存するファイル名を指定してやると、MEDALで処理できる形式に変換されます。一度変換した後は変換時に指定したファイルを[File] - [Open] - [Mon-graphical [including DICOM]] - [Multi Slice] のあと、「UNIX Pic Image」、「Apply」で呼び出すことができます。

4)フィルタを使った画像処理
A.平均値フィルタ
 メニューで[Image(s)Processing] - [FFTandFiltering] - [Average Firtering] を選ぶと平均値フィルタをかけることができます。
B.メディアンフィルタ
 メニューで[Image(s)Processing] - [FFTandFiltering] - [Median Filtering] を選ぶとメディアンフィルタをかけることができます。
C.ユーザー定義フィルタ
 メニューで[Image(s)Processing] - [FFTandFiltering] - [Arbitrary-2D Filtering[template:"MedalMainDirectory\Filter2D.txt"]] を選ぶとユーザー定義のフィルタをかけることができます。フィルタの内容はMEDALをインストールしたフォルダのPROGRAMサブフォルダにある”Filter2D.txt”の記述に従います。”Filter2D.txt”の記述方法はこちらを参照してください。

5)画像の重ね合わせ
重ね合わせの元になる画像を開いておき、メニューから[Image(s)Processing] - [Interaction of Images with Another Image] - [Add] を選び、重ねたい画像を指定します。このとき指定できるファイルは3)の処理で変換してあるファイルのみです。

6)二値化
メニューから[Image(s)Processing] - [Binarize Image(s) by Entering Threshold Values] - [Do Binalize] を選ぶとグレースケールからモノクロに変換できます。このときの閾値は[Image(s)Processing] - [Binarize Image(s) by Entering Threshold Values] - [Parameter] のParameter1の数値で指定します。また、[Image(s)Processing] - [Binarize Image(s) by Histogram Analysis ] - [Do Binalize] で自動で閾値を選んで二値化することができます。

7)その他
・正規化
 メニューから[Image(s)Processing] - [Normalize Intensity Value of Image(s)] - [Do Normarize Images(s)] を選ぶと各ピクセルの明るさが一定の区間の間の数値に変換されます。その区間は[Adjust Normalize Low Value] と[Adjust Normalize High Value] で設定できます。
・メニュー一覧
 メニューの一覧はこちら。メニューは開かれているデータの種類によって変わります。

ここに示したのはMEDALの機能のほんの一部です。いろいろ試してみてください。

SAMPLE1

下の画像を例としてフィルタを使った画像処理について調べてみます。


原画像
線の太さは
 細:1PIXEL
 中:2PIXEL
 太:4PIXEL

A)ラプラシアン型フィルタ
中央付近が正の値で、周辺部は負の値であるものをラプラシアン型のフィルタといいます。すべての要素の合計は0になるようにします。
 →ラプラシアン型フィルタの例
このフィルタはヒトの目の網膜受容野と同じ機能を持っています。このフィルタでは画像の中で周囲と変化している部分を検出することができます。

サンプル画像に対して様々な大きさのラプラシアン型ユーザー定義フィルタをかけると以下のようになります。

3*3ラプラシアンフィルタ 5*5ラプラシアンフィルタ 7*7ラプラシアンフィルタ 9*9ラプラシアンフィルタ

フィルタの大きさによって最も強く検出される線の太さが変わることが分かります。3*3では太い線は内側と外側の2カ所で検出されてしまっています。逆に9*9では細い線はぼやけてしまいはっきり検出されていません。ここでは行っていませんが、適当な閾値を選んで二値化することである太さの線だけを取り出すこともできます。ここから、検出したい線の太さに応じた大きさのフィルタを使う必要があることが分かります。

注)フィルタをかけると画像の各ピクセルは負の値をとることがあります。MEDALではそのような場合、負の値の最小値を0、正の値の最大値を255として正規化された形で表示します。以降のフィルタでも同様です。

B)方向性二次微分型フィルタ
ある方向に沿って、負の値→正の値→負の値、というような値をとるものが方向性二次微分フィルタです。この場合も、要素の合計値は0となるようにします。
 →方向性二次微分フィルタの例
このフィルタは特定の方向の線分を強く検出します。正ー負ー正のラインに対して垂直な線が検出されます。このフィルタは画像の線成分を抽出するのに便利で、脳の視覚系の一次受容野もこの機能を持っています。

4通りの方向の二次微分型のユーザー定義フィルタをかけると以下のようになります。ただし、フィルタの大きさは5*5としました。

5*5縦検出フィルタ 5*5横検出フィルタ 5*5斜め検出フィルタ1 5*5斜め検出フィルタ2

それぞれ特定の方向の線分を強く検出しているのが分かります。しかし、フィルタの大きさにあった太さの線分が強く出るのはラプラシアン型の時と変わりません。

C)四方向合成
さらに、この4種類の画像を重ね合わせると下のようになります。

四方向合成 5*5ラプラシアンフィルタ

ノイズ(下の点):検出対象(線)の明るさの比は
4方向合成で230:209=1.10、ラプラシアンフィルタで255:212=1.20
4方向合成のほうがノイズが抑えられていることが分かります。
理論上では二次微分フィルタをかけた画像の各ピクセルの明るさを2乗した画像を作り、それを重ね合わせるとさらにノイズを抑えられることが分かっています。今回は2乗はしていませんが、それでも少しはノイズを抑える効果がありました。

医用画像への応用

肺ガンにおいては、ガンを中心にした放射状の血管、気管の構造(spicular)が生まれます。ここでは、CT画像に対しての診断支援の基礎となる画像処理について調べてみましょう。人工画像のSAMPLE1をふまえて、医用画像への応用を試してみてください。サンプル画像は下のCT画像を使ってください。

原画像

課題1
 画像に大きさの異なるラプラシアン型フィルタをかけ、適切なフィルタの大きさを調べなさい。

課題2
 課題1で選んだ大きさの方向性二次微分型フィルタを用意し、様々な方向のものをかけてそれを重ね合わせた画像を作りなさい。

課題3
 課題2で作った画像と単なるラプラシアン型のフィルタの場合をそれぞれ適当な閾値で二値化して比較しなさい。

ヒント:SAMPLE1に対して使ったフィルタはこのページから参照できます。

医用画像への応用2

眼底写真は、「血管を体の外部から直接観察できる検査」という特長があります。眼底の血管は脳血管の一部が分岐してきているので、脳内の血管の状態を推測することができるといわれています。糖尿病・高血圧では、血管に変化が生じやすいので、目の病気以外に、糖尿病や高血圧の検査として有用です。

下の写真からわかる所見としては、眼底の網膜の点状出血、しみ状出血、軟性白斑などがあります。

原画像

課題1
 画像をグレースケール化し、そこに大きさの異なるラプラシアン型フィルタをかけて適切なフィルタの大きさを調べなさい。

課題2
 課題1で選んだ大きさの方向性二次微分型フィルタを用意し、様々な方向のものをかけてそれを重ね合わせた画像を作りなさい。

課題3
 課題2で作った画像と単なるラプラシアン型のフィルタの場合をそれぞれ適当な閾値で二値化して比較しなさい。